スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

五相成身観

「五相成身観」は、密教を初めて本格的に体系化した中期密教(ヨガ・タントラ)の経典『金剛頂経』に由来する観想法です。
『金剛頂経』は日本では真言宗の根本経典の一つです。

従来の仏教では、釈迦は「観」の瞑想によって真理を直観的に認識することで悟り、その内容を十二縁起や四諦として論理化した、とされてきました。

しかし、『金剛頂経』は、象徴的な観想法・マントラを中心にした瞑想法の「五相成身観」によって釈迦が悟り、その内容をマンダラとして表現されるという展開になっています。

もう少し具体的に書けば、釈迦(悟る前の名前としては「一切義成就菩薩」)が「アースパーナカ・サマディ(不動三昧:無念無想無呼吸の三昧)」に入っていましたが、それでは悟れなかったところ、一切如来が現れて5段階の観想法を指導して、悟ことができました。

厳密には、「五相成身観」は経典で書かれる瞑想法そのものというより、それを再現する形で行うものでしょう。
「五相成身観」の瞑想法は、『金剛頂経』に書かれたものだけではなく、その後に、様々な方法が付け加えられていきました。

==

では、具体的に説明します。

1 「通達菩提心」

・「オーム、我は心を洞察する」というマントラとともに、自らの心を観察する

『金剛頂経』では、これによって、心に月輪のようなものが出現したと書かれていますが、瞑想法としては、意図的に心臓の上に月輪のようなものを観想します。

月輪は心の本質の象徴ですが、この段階では汚れがあって、完全に清浄ではありません。

『金剛頂経』には記載がありませんが、「やや闇に包まれた月輪」の中に黒い阿字を観想したり、「月輪のようなもの」の中に「月輪そのもの」を観想する方法もあります。


2 「修菩提心」

・「オーム、我は菩提心(悟りを求める心)を発す」というマントラとともに、清浄な心を増大させる

『金剛頂経』では、これによって、月輪のようなものは月輪そのものなったと書かれていますが、瞑想法としては、意図的にそのように観想します。

『金剛頂経』には記載がありませんが、月輪の闇を払って月輪そのものとしてその中に金色の阿字を観想したり、「月輪のようなもの」の中の「月輪そのもの」が拡大すると観想する方法もあります。


3 「成金剛心」

・「オーム、金剛よ立ち上がれ」というマントラとともに、月輪上に金剛杵を観想し、(すべての如来と普賢菩薩の)菩提心を確かなものにする

『金剛頂経』では、これによって、月輪の上に、金剛杵が出現したと書かれていますが、瞑想法としては、意図的にそのように観想します。

金剛や金剛杵は悟りの象徴です。

また、『金剛頂経』にはありませんが、「オーム、広がれ金剛、縮まれ金剛」とマントラを唱えて、金剛杵を宇宙大に拡大させ(広観)、その後に収斂する(斂観)という方法もあります。
あるいは、最初に月輪そのものを拡大、縮小させてから、その中の阿字を金剛杵に変える方法もあります。


4 「証金剛身」

・「オーム、我は金剛を本質とする者なり」というマントラとともに、(すべての如来と普賢菩薩の)菩提心である金剛杵を堅固にする

『金剛頂経』では、これによって、宇宙に遍満するすべての如来が、金剛杵の中に入り灌頂を与えたと書かれていますが、瞑想法としては、意図的にそのように観想します。

「灌頂」というのは、密教の修行者として霊的な世界に参入することを認める入門と浄化の儀式です。


5 「仏身円満」

・「オーム、すべての如来があるが如く、我もあり」というマントラとともに、自身を如来の姿として観想する

『金剛頂経』では、これによって自分が如来であると悟り、その悟りを確かなものにしてもらうために、すべての如来に加持を祈願すると、すべての如来が金剛杵の中に入った、と書かれていますが、瞑想法としては、意図的にそのように観想します。

「加持」というのは、霊的な力を注ぐことです。

以上のプロセスで、釈迦は成仏します。
そして、金剛摩尼宝峯楼閣で四仏をともなう毘盧遮那仏となり、さらに、金剛界曼荼羅の諸尊格を出生します。

==

後期密教になると、「五相成身観」は「生起次第」として発展しました。

5つの段階は仏の報身の誕生のプロセスであるとして、人間の受胎から出産までのプロセスと結びつけて解釈され、観想されるようになります。

『秘密相経』では、「月輪のようなもの」の中に16の母音の種子を、「月輪そのもの」の中に34の子音の種子を布置する観想を行うようになります。
また、『へーヴァジュラ・タントラ』では、「月輪のようなもの」は「月輪」に、「月輪そのもの」は「日輪」に変わり、後者の中の子音の種子は40になります。
つまり、最初の2段階が男性原理と女性原理と考えられるようになっています。

また、5つの段階は、「大円鏡智」→「平等性智」→「妙観察智」→「成所作智」→「清浄法界智」というように、五智とも対応づけられるようになりました。


スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

はじめまして。yamaと申します。
卒論で、瞑想を脳科学的に考察しようと思っています。
そこで、こちらのサイトは瞑想の基礎知識として非常に助かります。
よろしければ、参考文献などを教えていただけないでしょうか?
よろしくお願いします。

Re: No title

コメントありがとうございます。

このページの内容に関する参考文献ということでしょうか?
それでしたら、『密教の世界』(新人物往来社:1994年)という本に掲載された正木晃氏の文章です。
『金剛頂経』に書かれていない方法が記載されていますが、その由来については存じておりません。

ところで、このページの文章は20年ほど前に書いたものをとりあえずそのまま掲載したもので、内容が薄いので、近々、リライトしようと思います。

もし、他ページも含めた参考文献ということでしたら、何に関するものか限定をしていただければ、お伝えできます。

Re: No title

リライトしました。
検索で1位なんですね。
『性と死の密教』田中公明(春秋社)も参考文献として加えます。
プロフィール

morfo

Author:morfo
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。