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ハタ・ヨガ(ナータ派ヨガ)とは

「ハタ・ヨガ」は、アウトカーストやシュードラの文化をベースにした中世の宗教思想運動の「タントラ」から生まれた、力動的なヨガです。

『ヨガ・スートラ』に代表される「古典ヨガ」が、心身の働きを順次止滅させていくことを目的とするのに対して、「ハタ・ヨガ」は身体を利用した方法によって、心身の止滅と再活性化を目的とする傾向があります。
「ハタ・ヨガ」では、身体を神の神殿であり宇宙や神々と照応すると考え、プラーナのコントロール、象徴や観想、マントラを利用し、現世的なものに対して肯定的な思想です。

現在、一般に世界で行われている「ハタ・ヨガ」は、アイアンガーやパタビ・ジョイス流のもので、『ヨガ・スートラ』を重視した、かなりバラモン的に解釈されたものだと思います。
この項では、中世からの本来の「ハタ・ヨガ」であるナータ派の「ハタ・ヨガ」の全体像、本来の姿を、概論的に、推測も含めて紹介します。


ハタ・ヨガを大成したのは、12Cのナータ派のゴーラクシャナータです。
彼はアウトカースト、もしくは低カーストのタントリストでしょう。
実は、最初にアウトカーストの宗教を取り入れてタントラを生み出したのも、「ハタ・ヨガ」という言葉を最初に使ったのも、仏教です。
ゴーラクシャナータは金剛乗のタントラ仏教徒でもあって、タントラ(ハタ・ヨガ)をシヴァ派に取り入れたのです。

ハタ・ヨガの現存する最古の経典はナータ派のゴーラクシャによる『ゴーラクシャ・シャタカ』です。
ハタ・ヨガの代表的な経典は、ナータ派のハタ・ヨガを解釈して16~17世紀頃に書かれた『ハタ・ヨガ・プラディーピカー』があります。
他の代表的な経典には『ゲーランダ・サンヒター』、『シヴァ・サンヒター』などがあります。

哲学的には、「古典ヨガ」がサーンキヤ哲学に基づくのに対して、ナータ派のハタ・ヨガは、シヴァ教パーシュパタ派と密教の影響を受けています。
その後、ハタ・ヨガに限らずですが、タントラ派の哲学は、サーンキヤ哲学の25原理の上にシヴァやシャクティなどの原理を置きつつ、ヴェーダーンタ哲学の影響を受けたものになります。

『ハタ・ヨガ・プラディーピカー』などにはハタ・ヨガは「ラージャ・ヨガ」へ至るステップであると記載されています。
この場合の「ラージャ・ヨガ」とは、アートマン=ブラフマンの体験に導くサマディの瞑想法の段階に当たりますが、その方法はハタ・ヨガ系経典に独特のものです。
ですから、実際には、「ラージャ・ヨガ」は「ハタ・ヨガ」の最終的な段階で、両者は一体のものと言ってもよいでしょう。


ハタ・ヨガの諸経典は、『ヨガ・スートラ』の8支則の影響を受けていますが、本来的にはそれを前提とはしません。
また、8支則を立てても、別の解釈をしたり、独特の方法を使ったりします。

『ヨガ・スートラ』の第1支の「ヤマ(禁戒)」、第2支の「ニヤマ(勧戒)」は必ずしも説かれません。
『ゴーラクシャ・シャタカ』にも、『ハタ・ヨガ・プラディーピカー』にも主要な支としては立てません。
『ハタ・ヨガ・プラディーピカー』には「戒律にこだわらないように」という記載もあります。
それが常識的な禁欲や清浄さにこだわらないタントラの特徴だとも言えるかもしれません。

そのかわりに、『ゲーランダ・サンヒター』では、浣腸・洗浄などによって肉体を清掃する6つの「カルマ(浄化の作法)」を立てます。

『ヨガ・スートラ』では「アーサナ(座法)」は単に楽に座るということにすぎなかったのに対して、多数の方法がある程度具体的に書かれています。
個々の「アーサナ」は、プラーナや心のコントロールにつながります。
「アーサナ」に集中することは、同時に後の支則、特に、「プラティヤーハーラ(制感)」を行うことにもなります。

『ヨガ・スートラ』では、「プラーナーヤーマ(調気法)」は、緩やかな自然な呼吸、あるいは、通常の呼吸を止めること(クンバカ)を目的として、簡単に記載されているにすぎなかったのに対して、多数の方法がある程度具体的に書かれています。
「プラーナーヤーマ」の目的は、プラーナのコントロールです。

また、『ヨガ・スートラ』では言及されなかった「ムドラー」や「バンダ」が重視されます。
ハタ・ヨガ系経典では「ムドラー」は支則(主要な要素)として立てられることが多く、「バンダ」はその中で説明されます。
「バンダ」は、身体の特定の部分の締め付け(脈管を閉じる)によって、プラーナをコントロールする技法です。
「ムドラー」は、「アーサナ」や「プラーナーヤーマ」、「バンダ」などを組み合わせて総合的にプラーナをコントロールする(閉じ込めるなど)方法です。

ハタ・ヨガにおいては、プラーナのコントロールは、核心的な意味を持ちます。
「クンバカ」を含む「プラーナーヤーマ」、「バンダ」を含む「ムドラー」は、プラーナをコントロールする方法ですが、プラーナのコントロールは、同時に心のコントロールでもあり、同時に瞑想段階の支則を行うことにもなります。

ハタ・ヨガはタントラ独自の、プラーナの次元における身体構造(霊的生理学)を前提としています。
3つの主要な脈管(ナーディ)、7つの主要なチャクラ、3つの結節(グランディ)などです。
ハタ・ヨガの行法上の最大の特徴は、「クンダリニー」を頭頂のチャクラまで上昇させること、頭部から「アムリタ」を垂らすことなどを核心としていることです。

『ヨガ・スートラ』の瞑想に当たる「ダラーナ(凝念)」、「ディヤーナ(静慮)」、「サマディ(三昧)」の段階も、プラーナのコントロール(クンダリニーの上昇)によって行ったり、特定のアーサナや特定の場所への集中、観想、秘音への集中など、ハタ・ヨガ独特の方法によって行います。

例えば、「クンバカ」によるプラーナへの集中は「ダラーナ」となります。
「ムドラー」の実践は、その集中を持続させて「ディヤーナ」となります。
秘音への集中は「サマディ」に導きます。

また、ハタ・ヨガでは、「クンバカ」の持続時間を、「プラティヤーハーラ」から「サマディ」までと、対応させて区別します。

これらの段階の支則としては、『ハタ・ヨガ・プラディーピカー』は「ラージャ・ヨガ」を、『ゲーランダ・サンヒター』は「ディヤーナ(観想法)」、「サマディ」を立てます。


『ハタ・ヨガ・プラディーピカー』などのハタ・ヨガの主要経典に記載されている個々の瞑想法に関しては、他の項で説明しています。
しかし、ハタ・ヨガの諸経典は時代を経るごとに変化していて、本来のナータ派のハタ・ヨガとは変化しているようです。
本来のものがどのようなものであるかは、はっきりとは分かりませんが、『ハタ・ヨガ・プラディーピカー』などの後世の主要経典や、アイアンガーらの「近代ハタ・ヨガ」にはあまりない、タントラ的なヨガの特徴を、次に挙げてみます。

霊的生理学に関して、後世の理論とは異なる部分があります。

チャクラは7つではなく多数あり、頭頂のサハスラーラ・チャクラの上の頭上にも6つあります。
アムリタは、後世の経典などではサハスラーラや眉間のアジナー・チャクラの少し上のチャンドラから垂れるとしますが、そうではなく、チャンドラの少し上にあるアムリタ・チャクラから垂れるとされます。

クンダリニーは、会陰部ではなく、臍下のチャクラのところにあり、8重のとぐろを巻いているとされ、それ自身がスシュムナーを上昇するのではなく、プラーナを加熱します。
これは後期密教の「チャンダリーの火」とほぼ同で、これが本来の説だったのでしょう。

また、個々のアーサナごとに、特定の部位、チャクラや「マルマ」と呼ばれる場所への集中を行って、プラーナの操作・集中をします。

そして、アーサナごとに、特定の観想やマントラを利用します。
これは、特定のプラーナのコントロールを行うための補助となる観想であったり、チャクラを活性化するためのマントラであったりします。

また、タントラはミクロコスモス(心身)とマクロコスモス(世界)の照応関係を考えます。
ですから、身体の各部位、チャクラやナーディは、神話や自然・聖地・神々と象徴的な対応関係を持ちます。
そして、プラーナを操作する内的ヨガは、外的な宗教儀式と象徴的な対応関係を持ちます。

以上のように、タントラ的ハタ・ヨガの特徴には、個々のアーサナ(体位)ごとの、マルマ(部位)の活性化、プラーナ操作、イメージや音(マントラ)の動態化との連動があるわけです。

いくつか、例を挙げましょう。

うつ伏せに寝て、胸の横に両手を置き、息を吸いながら、上体を反らす「ブジャンガ・アーサナ(コブラのポーズ)」は、神話的にはアナンタ竜を象徴します。
コブラ=アナンタ竜は、同時に、背骨やスシュムナー管の象徴でもあり、クンダリニーの象徴でもあります。
アーサナにおいては、基本的には仙骨のマルマに集中します。

そして、マントラや観想を伴なう各チャクラへの集中を、呼吸とともに上から順を追って行います。
例えば、まず、頭立ちのアーサナを行いつつ頭頂のチャクラで「アー」、両手を拳にして重ねてその上に額を載せた休憩の姿勢を行いつつ眉間のチャクラで「ヤーン」、その後は部ジャンガ・アーサナを行いつつ喉のチャクラで「ハーン」、心臓のチャクラで「ヤーン」、腎臓部のチャンドらやスーリヤで「アーウーン」、臍下のチャクラで「ラーン」、下腹部のチャクラで「ヴァーン」、会陰部のチャクラで「ラーン」といった具体です。

背骨に対応させてサンスクリット33子音をマントラとして唱えたり、アーヤトリー・マントラの4音節を唱えたりする場合もあります。


次に、片足を立ててその足の方へ上体をねじる「マツェーンドラ・アーサナ(ねじりのポーズ)」は、乳海撹拌の神話を体で再現するものです。
「乳海」は会陰部チャクラにあるクンダリニー、「曼荼羅山」は中央のスシュムナー管や背骨、「アムリタ」は頭頂ないしは のチャクラから垂れる霊液に対応します。
アーサナにおいては、腎臓のマルマに集中し、ねじった方の脈管(イダかピンガラ)を閉じて、スシュムナーを通し、最終的にアムリタを得ます。
ちなみに、マツェ-ンドラはゴーラクシャナータのグルに当たる伝説的な人物です。


次に、ヴィンヤサ・ヨガでも基本となる「太陽礼拝」ですが、各アーサナが1年の各季節を象徴するという説があります。
ですから、各アーサナで、季節の象徴性を心身で体現します。
各アーサナでは、特定の部位(マルマ)への集中をします。

また、12のポーズに対して、12の太陽神を対応させ、それぞれのマントラを唱える方法もあります。
マントラは、「オーム 〇〇〇 ナマハ」で、「〇〇〇」のところに個々の太陽神の名前(呼びかけ)が入ります。
具体的には、スーリヤーヤ、ミトラーヤ、サヴィトレー、アーディティヤーヤ、マリーチャエーなどです。
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